マシーン・エコノ ミーの根幹となるテクノロジー IOTAがSlush Tokyoで登壇

今年のSlush Tokyoはスピーカーに仮想通貨関連の企業も数多く登壇しておりました。 その中でもブロックチェーンの次を行くと言われている タングルといったテクノロジーを 使っている暗号通貨IOTA の開発・研究などを行なっている IOTA財団からJohn Licciardello (ジョン・リチャデッロ)さんが登壇をしておりましたので、内容を全訳レポートいたしました。
以下は翻訳となります。
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“IOTA エコシステム開発基金”

まず初めに、多くの方々が IOTAのファウンダーである ドミニクのプレゼンをここで期待 していたことでしょう。残念ながら彼は本日参加することができなくなってしまいまして、(皆さまにとっては)更に残念なことに彼は私を代理として来させました。 心からお詫びを申し上げます。 時差ボケといきなりの通達でしたが皆さまをがっかりさせないようにベストを尽くします。 え、お前は誰だって? 私の名前はジョン・リチャデッロと言いまして、 IOTA財団の エコシステム開発基金のマネージングディレクターをしております。IOTA財団はタングルというものを使った分散台帳テクノロジー IOTAを支持している団体です。 ビットコインやイーサリアムのおけるブロックチェーンが、IOTAでいうタングルです。今日は出現しつつある新しいデジタルの時代を紹介し、IOTAについての簡単な紹介とブロックチェーンよりも改善されたタングルの構造を説明します。そして最後に私が任されているエコシステム開発基金についてご説明させていただきます。

“デジタル時代へ ようこそ”

研究とアドバイリーの分野で世界のリーディングカンパニーの一つであるIHSマークイットは 750億ものインターネットに接続されたモノが2025年までに使われるようになるという予想をしています。これはおおよそ世界人口の一人あたりに対して10つのIoTデバイスがあるということです。デバイスが情報の加工・分析・保存をするために一箇所のクラウドデータベースの貯蔵庫に接続されているような現在の状況は、今後デバイス全てが生成していくであろう圧倒的なデータ量を実現できるようにスケールすることが単純にできません

“データは新しい石油だ”

付け加えると、データはすでに間違いなく世界で一番価値のある資源となりつつあります。考えてみて下さい。世界でもっとも価値の高い企業 5つ、Apple, Google, Amazon, Facebook そして Microsoft は元来からデータを集め、保存し、分析し、販売するというビジネスの中にいます。20世紀の石油による巨人達は21世紀のデータの巨人達に王座を奪われてしまったのです。

“だけどまだいくつか足りないことがある”

しかしながらこの新しい現実に対して未だに明らかになっていない疑問がいくつかあります。 一体どうやってそのデータを信用できるのでしょうか? 誰がそのデータを所有しているのでしょうか? 全てのデバイスが生成し、かつ依存するデータがクラウドのデータベース貯蔵庫を頼りにする場合、それはどこもしくは誰のもとにいくのでしょうか? 何百万につぐデータを作り出していく何十億ものデバイスから、特定のパーティを信用することなく、確実に、コスト無しで、素早くデータと資源を共有するには一体どうしたら良いのでしょうか?

“分散台帳テクノロジーに飛び込もう”

分散台帳のテクノロジーを見てみてください。ビットコインはその最初となるものです。ブロックチェーン技術に基づき、分散された、非中央集権で、許可を必要としないノードの束がデータに対して互いの信用なく合意形成を得ることができたのです。 ビットコインの例では取引の台帳ですね。ビットコインにおいては、取引および他のデータは一連のチェーンで繋がれたブロックの中に梱包されます。一つのブロックが一つ前のブロックを、その前のブロックがその更に前のブロックを、参照しており一番最初のブロックつまりジェネシスブロックまで辿ることができます。タングルは異なる種類の分散台帳です。ブロックチェーンとは対照的に、ブロックもチェーンもありません。その代わりに一つ一つのデータや価値の移送となる取引が先にある2つの取引を参照します。これら2つの取引も更に先にある2つの取引に対して参照をしているので、最初のジェネシス取引にまで辿ることができます。これはグラフ理論によるところでいう通称DAG(Directed Acyclic Graph)と呼ばれる有向非巡回グラフを形成します。”有向”は全ての矢が一つの方向になるからで、”非巡回”は繰り返すことがないから(言い換えるなら矢を辿っても同じ取引に戻ることはできません) 、グラフは、まぁ、接線(参照)と頂点(取引)からなるグラフが形成されるからです。聞いている皆様の中にグラフ理論の専門家がいらっしゃったらご存知だと思いますが、ブロックチェーンも厳密に言うとDAGの一種です。頭が痛くなくならないように区別するとするなら、ブロックチェーンは一次元のDAGで、タングルは多次元のDAGです。

“ブロックチェーン: 遅くてコストが高い”

このスライドが示すのは取引がブロックに梱包されるブロックチェーンの構造です。ブロックチェーンではマイナーが次の“ブロック”を“チェーン”に加えていくことをブロック報酬と取引手数料により動機付けられています。どのマイナーが次のブロックを加えるのかは 暗号パズルを解くために計算資源を使わなければならない ”仕事の証明” (Proof of Work)と呼ばれる公平で非中央集権的な抽選のような仕組みで決まります。このパズルを解く唯一の方法は解き当てて確認するしかありません。現在のところビットコインのブロックチェーンだけでもマイナー達は、まったくもって唖然とする数ですが、一秒あたり全体で2000京(2000万兆)にも登る計算推量を、軍拡競争的なレベルで次のブロックを得るためだけに生み出しているのです。この総ハッシュ計算量がネットワークを安定させているのですが、それに必要となるエネルギーは複数の概算からデンマークの年間エネルギー消費量を同等とされており、ブロックチェーンを安定させるために必要なものを遥かに凌駕していることでしょう。それぞれのブロックは平均的にそれぞれの時間間隔で加えられます(ビットコインではおおよそ10分) が、ブロック生成の平均時間と取引が承認されたと安全に考えられるまでのブロック数の間にはトレードオフがあります。もしブロックがより頻繁に採掘されれば、取引の普遍性にはブロック数がより必要になるでしょう。付け加えるなら、一つ一つのブロックに入る取引数には限界があるため、より多くの利用者が取引を発生させたい場合、マイナー達はより高い手数料を支払う取引をブロックに含めるように動機付けられているために、混雑がこの限界数に対する市場を作り上げてしまいます。

“ブロックチェーンのボトルネック”

重要なことですが、これらはブロックチェーン構造の特徴であり、バグではありません。混雑が手数料を作り、マイナー達を動機付けて仕事の証明とともに台帳の保守管理をさせ、承認の遅いブロック生成頻度で合意を究極的には形成しています。これがブロックチェーンのボトルネックです。

“タングルはスケールできる!”

タングルは根本的に異なる動作をします。タングルにはマイナーも、チェーンも、ブロックも、ブロック報酬もありません。その代わりに利用者一人一人が平等な役割と責任をシステムに対して持っています。タングルで取引をするためには、あなた自身が他の二つの取引を矛盾が無いか(二重支払いやその他の不正)認証することと小規模の Proof of Workを要求されます。これを行うことの動機は、もしあなたがルールに従い二つの他の取引を認証し Proof of Workをするのであれば、あなたの取引もその後に続く他の取引達から認証を受けるのです。つまり、このシステムにおけるあなたの利点はあなた自身がシステムにもたらす貢献と比例するのです。より多くの取引が発生すればするほど、より累積的な Proof-of-Workが加わりネットワークが安定し、より多くの取引が承認されます。タングルは利用者数と頻度で拡大されるのです! 活動量が加われば取引はより早く承認されネットワークはより安定します。ブロックチェーンのようなマイナーと利用者の役割や責任の分断がないために、ネットワークの参加者全ての動機は完全に同調しているのです。

”手数料がありません!”

そして一番重要な点ですが、マイナーがいないために手数料が発生しません。それはつまり送金の額と受取の額が同じになる必要がある小規模決済が可能となるのです。それだけではありません、取引自体が通貨や価値の交換である必要が全くなくデータのみでも良いのです。 暗号化して特定の受益者のみと共有するか、全ての人たちに公開することもできます。IOTAが持つヴィジョンの全体像は、*マシーン・エコノミーを実現すること、そしてそのマシーン達をコントロールする人々に本来のデータ所有権を取り戻させることです。 (*機械経済: ロボットやIoTデバイスなど機械自身が市場おける活動体として経済を成すこと)

“マシーン・エコノミーの実現へ”

IOTAの分散台帳テクノロジーはタングル構造に基づいており、資源(データ)が効果的に割り当てられ、人々に自らのデータの所有権と収益権を与え、台頭しつつある M2M (マシーン・トゥ・マシーン)経済が繁栄することを可能にするのです。さて、ここまででIOTAを支えるタングルの構造、それがどうしてブロックチェーンからの進歩となるのか、そしてこの革新的なテクノロジーが可能にするマシーン・エコノミーについてお話をいたしました。 エコシステム開発基金がいかにこのビジョンを支えていくかをご説明いたしましょう。

“エコシステム開発基金の起源”

まず少しIOTAの背景についてお話しします。IOTAは草の根活動から始まりました。共同創設者のデイビット・ソンステボ、ドミニク・シーナー、セルゲイ・ポポフ、セルゲイ・イワンチェグロは全員がブロックチェーンの世界での経験が深く、タングルの元となるアイデアを考案し、開発資金を得るためにICO (イニシャル・コイン・オファリング) を2015年に行いました。約50万ドルといくらかの暗号通貨で資金調達をし、創設者達には事前割り当てなどは一切せず、IOTAトークンの*全配給量をICO参加者達に比例した資金分を最初のジェネシス取引として分配しました。 (*注釈: マイナーやブロック報酬などは無いため固定された配給量で変わることがない) その後続いて、IOTAの創設者達はそのICO参加者達に寄付を募り、ゆくゆくIOTA財団の元となる全配給量の5%にも及ぶ IOTAトークンを最終的には受け取りました。IOTA財団は昨年の11月にドイツのベルリンにおいて認定NPOとして登録されています。少し飛んで2017年の初めになりますが、IOTAコミュニティの有志メンバー達がコミュニティが様々なプロジェクトやエコシステムの活動をサポートできるようにと IOTA財団に寄付された資金とは別に何か資源の蓄えがある方が良いと考えはじめました。様々なコミュニティーメンバーからの寄付により20Ti にもおよぶ IOTAトークンが集まるに至り、当時20万ドル程度の評価額だったものは、今日においては何千万ドルもの時価評価額になったことによって この先何年もの間 IOTAエコシステムを発展させる巨大なエネルギーとなる可能性を持つようになったのです。

“オープンソースと許可のいらないイノベーション”

IOTAはただの暗号通貨だけではありません。 IOTA財団が思い描くのは 研究・開発・イノベーション・実世界でIOTA分散台帳が採択されることに焦点を当てた団体になることです。Linux財団がLinux OSの技術開発や産業活用を加速させるために オープンソースプロジェクトなどで熱心に持続可能なエコシステムを作っているように、IOTA財団はこのような使命を許可のいらないイノベーションや開発を支援することによってIOTAの基礎プロトコルとして見習いたいと思っています。クリエイターであり、Linuxカーネルの開発主任であるリーナス・トーバルズが言うように “オープンソースの良いことの一つは基本的に一人一人がプロジェクトに対して与えられる何かを持っている” のです。エコシステム開発基金はこの精神を体現しています。オープンソースソフトウェアであること、許可のいらないイノベーションであること、コラボレーションや*コ・クリエーション (*多様な立場の人達が対話しながら新しい価値を生み出していく考え方のこと。共創とも) そしてお互いの作品の上にさらに作り上げていくことがすべてなのです。エコシステム開発基金の資源は 教育に関する資料・ライブラリーなど公的な実用品・概念実証・試験的パイロット・慈善事業・その他様々な開発を含む、多様なIOTAのエコシステムに寄与するような全てのプロエジェクトを支援いたします。 ハッカソンやインキュベートプログラム、ワークショップなどももちろんです。

“いくつかの価値あるエコシステムプロジェクト”

IOTAの最大の強み、それはプロジェクトの周りで急成長していくとてつもなく革新的で情熱に溢れたコラボレーションのエコシステム です。 こちらのスライドでは文字通り何百もあるIOTAのエコシステムプロジェクトの中からいくつかご紹介します。IOTA財団に寄付された資金とは別である エコシステム開発基金は合法的な基金として助成するために現在弁護士なども含めて設立を進めていることを言及しておくことは重要でしょう。ここでみるプロジェクトは全てコミュニティにより開発され、IOTA財団およびエコシステム開発基金からはいかなる資金的援助もうけておりません。

タングルの全て: 動画でタングルテクノロジーやIOTAの実用例を説明するとても良いユーチューブチャンネルです。
キャリオッタ (キャロットのモジリ): オープンソースで一つ、もしくは艦隊にも及ぶIoTデバイスのウォレット管理ができます。
フォグネット: 2018年 フラッシュチャンネル・ハッカソンの優勝作品で、ペイメントチャンネルを使い帯域幅の限られた環境でもデータのやり取りができるようなものです。
バイオータスフィア (バイオスフィアのモジリ): トロントを拠点にするイノベーションハブで、IOTAプロトコルを使った実世界アプリケーションの商用化に打ち込んでいます。
アイオータ・ノット: タングルのリアルタイム可視化ツールです。

エコシステムの起業家やエバンジェリスト、ホビースト達はまさにIOTAの最大の貴重な存在で、私たちがとてもワクワクしてエコシステム開発基金とともに支援できる理由そのものです。エコシステムプロジェクトの中でも私のお気に入りの一つはオランダのグリッドオペレーターのイニシアチブであり、スマートチャージングインフラの分野で博識でイノベーション拠点となっているElaadNLに所属するハイン・ヴァン・デン・ブリンクが作ったスマートチャージステーションのプロトタイプです。このプロトタイプと動画はElaadNLによって着手および資金提供されています。許可のいらないエコシステムの空間で何ができるのかという素晴らしい実例となるのでご覧ください。

 

ご覧のように、スマートチャージングステーションの彼は IOTA財団に正式に参加いたしまして、その他にも多くの注目に値する加入がここ数ヶ月でもありました。 それぞれが驚くべきほど深い知識と専門性をもたらしてくれています。
活気に満ち溢れるエコシステムとは別に、IOTAのために働いていて素晴らしいことの一つはこのような素晴らしい人達と共に毎日をIOTA財団で過ごせていることです。やることはまだまだ沢山ありますが、 IOTA財団が集めたこのような素晴らしいチームと、IOTAプロジェクトを発展させる非凡なエコシステムとコミュニティを見てきてわかることは、本日ご紹介させていただいたヴィジョンを私たちが達成するのは時間の問題でしかないということです。

本日はIOTAについてとエコシステム開発基金のためにお時間ありがとうございました。ご質問などあればためらわらずにこのあと話しかけていただくか、Eメールをを送ってください。喜んでお話しさせていただきます。ありがとうございました。

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実際のプレゼンテーションの動画はこちらから

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