Serguei Popov(数学者&IOTA共同設立者)へのインタビュー

補足説明
この記事はIOTA HISPANOさんによります原題『Interview to Serguei Popov, mathematician & IOTA cofounder』の日本語訳です。必要だと思われる部分には言葉や構成を補っています。
トップ画像は『Interview to Serguei Popov, mathematician & IOTA cofounder』より引用させて頂いています。

 数学の博士号(モスクワ大学にて1997年取得)を持つSerguei Popovは、Sergey IvanchegloDavid Sønstebø と Dominik Schienerと共にIOTAを作った共同設立者です。IOTAの理論的・概念的側面を支えている彼が、有り難いことにIOTA Hispanoの短いインタビューに応じてくれることになったので、Discordで盛り上がるのもいいだろうと思い、開発者たちに「Popovに質問するチャンスあるけど、何がいい?」と質問を投げかけてみました。以下の質問はそこから選ばれたものに、私たち独自の質問を足したものです。みなさんにこのインタビューを楽しんでいただけたらと存じます。またインタビューの編集にも時間を割いて謙虚に対応してくれたPopovに感謝致します。

インタビュアー:
Daniel De Michele (Carpincho Dem)
IOTA Hispano コンテンツ主任
IOTAエバンジェリスト・ネットワーク・メンバー

(2018年5月2日記事を発表)

IOTAの残りの共同設立者たちのことを、どうやって知ったんですか?

 私が暗号界隈に興味を持ったのは2013年の終わり頃だけど、最初は関連の読書から始めて、bitcointalk.orgに登録したんです(登録名は mthcl)。Nxtという暗号通貨が非常に期待できるように見えたんです。でも運悪く、わずか数週間の差でそのクラウドセールに間に合いませんでした(もし間に合ってたら、2013年12月にはミリオネラーになってたね、笑)。いづれにせよ、私は確率論に取り組んでいる数学の研究者だし、暗号通貨は私が(概ね)よく理解しているポアソン過程(訳注:ランダムに生起する事象を表す基本的な確率過程)と大いに関係があるので、Nxtのブロックチェーンについて何度か(封筒の裏に走り書きするような〕大ざっぱな計算をして、それをNxtのフォーラムに投稿したら、「わあ!..全然理解できない!..でも、なんか凄そう。もっと書いてよ!」と言われたので、もっと書いきました。その最終版はここで見れます: http://ledger.pitt.edu/ojs/index.php/ledger/article/view/46.
 Nxtの確率論的側面に取り組んでいる間に、Sergey Ivancheglo 別名 Come-from-Beyond、となんども議論をしました。彼は(その後判明したんだけど)ミステリアスなBCNext、つまりNxtの設立者でもあったんです。そのうちに、Sergeyと(当時のNxtコミュニティーの活動的なメンバーでもあった)David Sønstebøが、現在IOTA(IOTAという名前は当初は存在しなかったけど)として知られるDAGベースの手数料無料の暗号通貨の新しいプロジェクトを始めることを決めたんです。実は、彼らはIOTAだけじゃなくて、もっとはるかに多くのことを始めることを決めたんだけどね。でも、今はそのことは秘密にさせておいて。とにかく、彼らに誘われてIOTAの理論的・概念的側面に取り組むことになったんです。あれは2015年の初めでした。当時はシステムの理論的設計に本当に懸命に取り掛かって、現在の設計に決まるまで、何度も繰り返しや失敗を重ねました。
 覚えている限りでは、Domがプロジェクトに参加したのは同じ年(2015年)の数ヶ月後だったと思います。でもあまり記憶が定かじゃないですね。恐らくあの時はDomと交流がなかっただけかもしれません。面白いことに、3人の設立者の中で実際に会ったことがあるのはDomだけです。(昨年の9月に上海で彼に会った)。彼は本当にすごい人だね。

IOTA財団は世界中にメンバーがいます。例えば、あなたは、ブラジルですね。そんなに地理的に散らばっていますが、みんなどうやって仕事してるんですか?

 いわゆる、スカイプやスラックなどでね。少なくとも今はいくつかローカル・グループ(ベルリン、テルアビブ、カンピナス、ニューヨークなど)もあって、互いにもっと近い距離で仕事しているよ。

現在は何人の数学者がIOTA財団で働いているのですか?また、その人たちは日々どんな仕事をしているんですか?

 今のところ、(純粋な数学者について言えば)5人です。でももっとたくさん増やそうという考えがあります(私たちは、まだIOTAの研究のために適切な組織を作り上げている最中です)。彼らは普通の数学者の仕事をしているよ。ホワイトボードを見つめて、考える。ときどき、そこからいい結果が出てくるんです。

量子コンピューターの実用化まで、そう遠くないですね。IOTAは量子コンピューターに対する準備ができている唯一のプロジェクト、と言っても差し支えないでしょうか?量子耐性という観点から、IOTAと他のブロックチェーンに基づいたプロジェクトとの違いを、短い言葉で説明してもらえますか?

 最初の質問については、残念ながら、私は意見を言えるだけの十分な情報がないのですが、いまは無数のプロジェクトがありますね。IOTAがどうして量子耐性なのかに関しては、それは主に(十分に)量子耐性があると考えられているWinternitzのハッシュベース署名方式を使っているからです。

Nano(元Raiblocks)やByteballなどの他のDAGベースのプロジェクトに対して、何か意見はありますか?

 他のDAGベースのプロジェクトについては、IOTA財団の中で私たちはもちろん非常に 入念に観ているし、(内部の)研究セミナーさえ開くこともあります。だから、答えは「はい、(意見は)あります。」。でも、(本当に必要とされない限り)自分の意見を公開したくありません。「私は暗号通貨関連のプロジェクトに関わっている他の科学者たちの仕事を、本当に尊敬しています。」と言うことだけ言わせてください。

「IOTAは取引量が増えれば増えるほど、良くなる」と言うこといつも読むんですが、ノードのスループット(処理性能)という観点から、何百万という金額ゼロのトランザクションは、スケーラービリティ(拡張性)にどのように影響を与えるのですか?

 「増えれば増えるほどいい」という類の文句の(ほとんど)すべては、文字通り受け取らないほうがいいですね。もちろん、とてもたくさんのトランザクションがあって、例えば、その帯域幅を飽和させるとしたら、ネットワークは良くなりませんし。でも、大体の考え方としてはこうなります。”伝統的な”ブロックチェーンに基づく暗号通貨は、取引量が少なければ(ブロックが小さければ、それだけ同期しやすくなり、手数料が下がる等)よりスムーズに機能します。たとえまったくトランザクションがなくても、マイナーは依然としてブロックを生成するでしょう。
 それに対してIOTAのネットワークは協調的なものです。もしIOTAのシステムを使いたければ、システムの手伝いをしなくてはなりません。他者を助けることで、他者があなたを助けるのです。”単なるユーザーたち”の面倒をみるマイナーはいません。ユーザーたちはまさに自分で自分の面倒を見なくてはならないのです。それゆえ、ユーザーたちがより協力的になればなるほど、IOTAのネットワークは強くなります。特に、金額ゼロのトランザクションでも”Tangleを束ねる”という、とても有益な役割を果たすことができます。

IOTA財団は、クラスター化したトランザクションが小さなデバイス上で可能となるようにシャーディングのコア・ロジックとIOTAクライアントのデータベースの方向に進んできたのでしょうか?

 はい。でもまだやるべきことはたくさんあります。ここでは詳しいことに立ち入らないようにしたいと思います(これについてはあまり私の専門分野でないということもあります)。

1000TPS(transaction per second、訳注:一秒間あたりに可能なトランザクション数)のネットワークという想定に関してですが、平均より低いPoW能力しかないデバイスは怠惰なチップ(訳注:参照タングル図解 パート3:累積荷重と荷重ランダムウォーク)を生成するんでしょうか?もしそうなら、どうしてなのか、その理由を少し説明してくれませんか?

 原則的に、そうです。でもそれほど「怠惰」にはならない可能性があります(すなわち、まだそれなりの時間内に確定されるそこそこのチャンスがある)。ですが、将来的にはPoWから移行する計画です(考え方としては、PoWはIoT環境では必要ではなくなるいうことです。そんなに簡単にスパミングできないですから)

IOTAのタイムスタンプについて何か研究を実施してきましたか?もしそうなら、その研究によってどんな斬新なソリューション(解決方法)が可能になりますか?

 うん。それについて短い文章を書きましたが、基本的には、チップ選択ランダムウォークはタイムスタンプ処理も管理できる、ということです。しかしながら、その方法では、Tangleのグラフの(トランザクションを表す)頂点(訳注;参照タングル図解 パート1:タングルの紹介)を完全に順序づけることはできないということが観察されるはずです。タイムスタンプのためのいくつかの(信頼)区間が得られるだけです。

Tangleの設計を未来におけるIoTネットワーク向けの確立されたプロトコルとして考えたとき、今日何か限界や未解決の問題があると思いますか?

 それについては、大きな構想があります。でも、もちろん、まだあらゆる細部まで分かっているわけではありません(水晶玉を持っていないということもあるけどね)でも、私は非常に自信があります。私たちには素晴らしいチームがいますし、さらにもっと素晴らしいコミュニティーがいますから。

十分な計算能力を持った攻撃者が、ブロックチェーンタイプの51%攻撃をTangleに再現して、その結果として二重支払いやフォークしてより巨大なTangleができる、ということはありえますか?

 もしTangleを(私や共著者の諸論文に述べられているように)数学的モデルとして語っているなら、答えは、Yesです。Tangleでも状況はブロックチェーン/PoWベースの暗号通貨と同じです。ある攻撃者が、ネットワーク上の残りの者たちより強かったら、二重支払いを行うことができます。実際のIOTAネットワークに関して言えば、コーディネーターのおかげで今はそのようなことは起こり得ません。ネットワークが成長するにしたがって、徐々にコーディネーターを取り除いていく計画です。それが厳密にどのように起こるかに関する詳細については、現在仕上げている最中です。

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