Qubicのプロダクトオーナー Eric Hop氏のインタビュー

補足説明
この記事はIOTA HISPANOさんによります原題『Interview with Eric Hop, Qubic’s Product Owner
』の日本語訳です。必要だと思われる部分には言葉や構成を補っています。
トップ画像は『Interview with Eric Hop, Qubic’s Product Owner
』より引用させて頂いています。

 Eric Hop氏との出会いは2017年の7月になる。Bitfinexへの上場などのIOTAにとっての重要なステップを踏んでいる時期に、当時の時点で存在していたIOTAのコミュニティを私は探し始めた頃だ。その中でもEric氏は色々な場面で前へ出ている人物だということはすんなりと理解できた。IOTAのFacebookグループの管理者であり、SlackやHello IOTAのフォーラムのモデレーターも務め、IOTAの良くない「影」の側面を照らし、その解決策を示唆するような記事をMediumに投稿したりしている。例えばアドレス再利用を禁止するIOTAで寄付を行うための方法などだ。Eric氏は新しいウォレットの開発を始め多くのプロジェクトに忙しく取り組んでいた。それにもかかわらず、私がTangleのことで分からないことがあれば、彼はいつも私のことを助けてくれた。
 
 長年哲学を学んできた身として私が気づいたのは、真に賢明な人はその優れた頭脳の中にあるアイデアを伝えるために、常に謙虚な姿勢で他者に理解してもらうよう努めていることだ。Eric氏はまさにそのような人物である。これまで私たちのために尽くしてくださったことを本当に感謝している。

Daniel De Michele (Carpincho Dem)
IOTA Hispano コンテンツ部長
IOTA エバンジェリスト・ネットワーク・メンバー & エコシステム開発者
(2018年6月11日に記事を発表)

まずあなたのバックグラウンドと暗号通貨や分散型台帳との出会いについて教えていただけますか?

 私は1979年に大学のコンピューターに初めて触れたときにプログラミングというものを始めました。それからは毎日のようにプログラミングをしていましたね。こういうのを趣味が仕事になったとでもいうのでしょう。今まで仕事をしたという感覚になったことはありません。楽しいことを一日中してお金がもらえたという感じです。
 
 元々私は電子工学出身ですので、ほとんどのプロジェクトは高度な技術を扱っているものが多いです。それに加える形で、自分自身が最先端のコンピューター技術においてかれないように勉強も続けていました。2013年にビットコインに触れるようになり、2014年にはオープントランザクションを扱うスイスの企業で、仕事という形で仮想通貨業界に関わるようになりました。その後スマホアプリ開発で働くようになってからも、仮想通貨に何が起きているかは追ってきていました。2017年5月末に友人がIOTAというものを教えてくれた時、そのアイデアの先見性に衝撃を受けました。その時にIOTAに関わり始め、人に教えることで自分も学ぶようにしていました。それがIOTA財団での夢のような仕事に繋がりました。

IOTA Facebookグループの管理者の一人として、4万人ものグループにまで成長した裏では何が起きていたのでしょうか?

 タイミングが良かったのではないでしょうか。私がメンバーになったのはまだ総人数が50人足らずの時でした。質問対応しながら多くのことを学ぶことができました。ある時、グループの開設者であるKevin氏から人数が成長し多忙になってきたから管理者を引き継いでくれないかと言われ、私は快諾しました。この経験から仮想通貨のグループのあるべき姿をイメージできるようになりました。私はムーンやランボルギーニと騒ぐだけで中身のないグループを嫌っていました。ですので、IOTAのグループは尊厳のある行動と情報に富んだものにしようと決めました。
 
 私の友人であるAndre氏を始め、多くのモデレーターのおかげでグループの運営は順風満帆に進みました。投機的な投稿を実験的に許可したこともありましたが、一夜でグループ内は大荒れしたため、投機的な投稿は厳しく禁止することにしました。そうするとまた一夜でもとの友好的なグループに戻りました。私の意見ですが、IOTAのグループは今ある中でも一番良いグループではないでしょうか。と言えるのも、この密度あるグループを整理してくれる素晴らしいモデレーター達のおかげです。

コミュニティのために働いたり、解決策を提案するなどしたのちにIOTA財団のメンバーになりました。こうなることは分かっていましたか?また、そこまでの道筋について聞かせてください。

 IOTA財団で働ければ最高だなとはすぐに思うようになりました。その興味があるそぶりも見せたりしていましたね(笑)。Qについて小さなヒントが広がり始めた2017年11月ごろ、興味をそそられてその話題に飛び込み、ネット上で資料を散策していました。SlackからDiscordにIOTAが拠点を移動した後、私の存在はコミュニティに大きく知られていくことになりました。と言うのも、#tanglemathというおそらく最も難解な質問が投げられてくるチャンネル内で、質問対応をコンスタントに行なっていたからでしょう。その後、IOTAが抱える長期的な課題について解決策を提示した記事を書いたことによって私の知名度はさらに大きくなりました。モデレーターとしても動いていたため、IOTA財団側の人たちともよく接するようになりました。そんなある日、Ralf氏に財団で働きたいと持ちかけたところ、そのまま招待されました。しかも提案されたポジションはQのプロダクトオーナーだったのです。私の驚きが想像できますか?今までで一番「やりたいです」と即答できる仕事でした。財団に参加できるとは思っていましたが、まさかその先鋭隊を仕切ることになるとは思いもしませんでした。Qに携われることは大変喜ばしいことでしたが、そうなると私の中の最大の野心さえ小さく見える気がしました。好きなことに夢中になっているだけで得られるものがあるのだと知りました。
 

IOTA財団に雇われるだけでなく、Qubicのマネージャーになったとのことですが、そんな最先端の技術のなかで働くことの気持ちはどのようなものでしょうか?また、その日常を覗かせていただけますか? 

 
 私が今まで引き受けたプロジェクトの中でも間違いなく最大の挑戦でしょう。カバーされる領域が広すぎるのです。また、多くの部位がまだ完成していません。大きな概念としては存在していますが、細部の問題まで考えていくと取り組むべき課題が多く見つかります。幸運なのは、CfB氏が常に参謀としてアドバイスをしてくれることですね。
 
 今までのプログラミング人生で師を仰ぐような経験をしたことはありませんでした。この分野でなら私はそこそこいい位置にいるだろうと思っていました。しかし、彼は次元が違います。全てに対する答えを持っているのです。チェスで2手先を読むのに苦労している間に、15手先まで読み尽くしているような男です。
 
 私たちの日常風景は、その細部の問題を見つけ、CfB氏と話し合いをして理解をより深めることです。ただ、彼の言い草が非常に簡潔であるがゆえに、コミニュケーションが時に大変だったりします。その後、それに基づいた実装と実験を行います。私について言えば、先月はQubicのウェブサイトを書くことがほとんどでした。ですので、私が思う果たすべき責任はまだ果たせていません。やっと今、それに取り掛かることができ、次はロードマップを形にしていくところです。
 

Qubicのリリースによって、IOTAが財団によるIoTのためのプロトコルからQubicを可能にするためのツールに変わったように思えます。これについてはどのようにお考えでしょうか?

 はい、おかしく聞こえるのも無理ありませんが、IOTAはQubicを可能にするための副産物のようなものかも知れません。CfB氏は長期的な目線に立ってゲームをしています。彼の目線はこれからの数年のさらに先を見据えています。彼がやっていることは単に問題を解決してそのヴィジョンを実現するための情報を人々に託すことです。次の瞬間には彼に必要なものに取り掛かり始めてしまいます。ですので私たちがまだQubicについて全てを解決してはいないにも関わらず、彼はすでにスケーラビリティとその実現方法について考えています。私がみた限りではそれを止めるものが何もないです。私たちが必要とするのはしっかりしたものを思いつき実現させるための時間です。特に仮想通貨のトップ10に数えられるIOTAにとって人々の資産を危険に晒すわけには行きませんので、システムの改善も慎重に事を運ばなければなりません。IOTAは未だコアのプロトコルであり、さらなるスケーラビリティと信頼性を実現するために多くの開発が行われております。Qubicはそれを利用するだけです。メッセージングと手数料なしの支払い機能をIOTAから使わせてもらうということですね。また、Qubicはフルノードを走らせるインセンティブを与え、メッセージ量を増やすなどをすることで、IOTAのネットワークを強固にする役割も持っています。これらがどこへ向かっていくのかは正確には誰も予想できません。私たちはツールを作り、コミュニティがそれらを活かして素晴らしい結果を出す。私はまだ誰も思いついていない、キラーアプリとなりうる何かがあると思っているのです。
 

他にもスマートコントラクトを改善すべく動いているプロジェクト(EOS、TRONなど多すぎて挙げきれませんが)がありますが、IOTAの示すソリューションは何がそれらと違い、どう良いのでしょうか?

 正直言いますと、最近の他のトークンの動きは追いきれていません。今まで最低でも100はホワイトペーパーを読んだと思いますが、トランザクションのサイズ、ブロックサイズ、ブロックタイムなどの重要な点だけをつかむように飛ばし読みしていました。ただ私の意見ですが、どんなブロックチェーンをベースにしたトークンでも決定的な問題点をいくつも抱えていています。それを解決すべく挑戦するのですが、最低層にあるモデル自体に欠陥を抱えているため中々上手くいっていません。鍵を握っているのは採掘、手数料とブロックサイズです。(例えばライトニングネットワークなどで)どんなにスケールしようと頑張っても、普通に使っていればブロックは一杯になりますし、優先的に処理してもらおうとするので手数料は上がっていきます。さらにマイニングの軍拡競争によってマイナーの一極集中が進んでいるので、彼らはIOTAのコーディネーターを非難してはいますが、別に差があるわけでもなく、分散化は結局できていません。さらに悪いのはASICの製造業者が一つしかないことです。Bitmainが実質的に市場を支配し、その縄張りに踏み入る他者とは汚いやり取りをしています。
 
 別の観点からは、毎月20%ずつ高騰する採掘コストも長い目で見ると持続的でありません。採掘するだけに、過去数十年間のエネルギーの貯蓄をなかったことにしてしまったのです。
 
 スマートコントラクトにしてみても、私たちの限られた参加者でスマートコントラクトを実行するというやり方も、ネットワーク全体でやるのより理に適っていると考えています。ほとんどの人はスマートコントラクトよりも受送金を気にしています。それ以外の少数派のスマートコントラクトのためだけに世界中が計算を行なっているのです。
 

不安定な価格が仮想通貨の問題でもあります。支払いに使われることを目的とするIOTAのようなトークンにとってもこれは解決するべき課題です。これについて何か考えていることはありますか?

 成長が解決するはずです。ビットコインを見てみるとわかると思いますが、価格変動は次第に小さくなっています。そのビットコインでも実世界では価値の保存以外にはほとんど使われていない代物で、元々の売り文句も今ではすっかり失われています。しかし、自動取引が取引の均衡点を見つけ出しました。多くの場所で採用されるほどその均衡点はさらに安定します。一度IOTAプロトコルがIoTのために使われるようになれば、それと同じことが起きるでしょう。また、仮想通貨が普及すれば、今あるような法定通貨との壁もなくなっていくはずです。いつか仮想通貨の使用率が法定通貨の使用率を越えることは不可避です。もうそれは明らかになりつつあります。そしてそれがさらなる安定化装置として働きます。特に政府の通貨発行による無意味な経済介入(上手くいったことがないですよね)ができなくなればなおさらです。彼らがやっているのは権力と戦争に融資しているだけです。その代償は私たちが払っています。そのような暴君から権利を取り戻せることができることを望んでいます。
 

三進数プロセッサーは未だ1つの製造者からしか開発されていませんが、三進数プロセッサーについてはどう思っていますか?この方向に未来は動いていくと思いますか?

 私たちは未来のことを考えています。何を隠そうJinnは三進数プロセッサーでありIOTAが三進数を扱わなければならない理由でもあります。多くの人は理解していませんが、現在の二進数のシステムは限界に到達しています。ムーアの法則が通用しなくなりつつあります。
 
 三進数の研究はまだ始まったばかりですが、すでにエネルギー効率の観点から大きな潜在力を見て取れます。この普及はIoTから始まると考えています。なぜなら、IoTではその用途ごとに新しいチップをデザインするのが普通であり、パーツや構造を変えることに対する抵抗が少ないからです。三進数のソフトウェアを走らせるとはいえ、既存の二進数のシステム業界が乗っ取られるわけではありません。IoTにおいて三進数の優位性が実証されれば、三進数と二進数の両方を兼ね備え、仕事を振り分けることのできるようなチップが登場するのではないでしょうか?チップ製造社も常に最先端を追っています。それらの中で三進数デザインが目をつけられるかもしれません。三進数デザインが認められれば革新的なシフトが起こるはずです。さらに深く理解されればなおさらです。

2018年のうちにネットワークはどのように拡大していきますか?実際に使われるためにはさらなる容量とCTPSが必要になります。現在足りないものは何になるでしょう?

 スケーラビリティについては取り組みは始まっています。CfB氏が担当です。今のTangleはネットワークの帯域幅と全てのノードが全てのトランザクションを確認する必要があることによって制限されています。これは経済的合理性に基づくクラスタリングによって変えることができるはずです。アメリカのノードがアジアのトランザクションを承認する必要はありません。これは逆も然りです。地域に根ざしたクラスターがその地域を担当するような仕組みができるはずです。クラスターをまたがるようなトランザクションは少なめになると想定し、クラスター間で見ても二重支払いが起こらないような解決法に取り組んでいます。また、稼働中のシステムに変更点を加える必要があるので、これのためには真剣な研究と実験が必要です。まずはコントロールの効く小規模からゆっくり前進していくことになりそうです。
 
 それとは別に現行のIRIを改善するチームもいます。Discordを見れば常識的に進んでいく方向が見えるはずです。例えばチップ選択アルゴリズム、自己スナップショットなどからはコーディネーターの除去が見えるはずです。これらについては私よりも詳しい人がいます。私はQubicに集中しているので。
 

プロダクトや機能の公開日や提携発表に飢えているHodlerによる誇大広告や非現実的な期待についてはどう思っていますか?

 仮想通貨は投機的に成り上がってきました。人々はすぐに結果を欲しがります。今まで2013年後期と2017年後半に2つの急激な値上がりとその後の値下がりで落ち着く期間がありました。現在はまた落ち着いた期間にあり、多くの人は去年12月のFOMOに踊らされ参加しました。そのような人々の投資額は50%以下まで落ち込みました。もちろんなるべく早くそれを取り戻したいと彼らは考えるでしょうから、何かしらの形で市場に訴えかけるはずです。
 
 IOTAに投資する。彼らにとってはその破壊的な特徴から投資を失うリスクを考えざるを得ない恐怖のトークンです。もちろんFUDをばらまいて死に追いやることだってありえます。ただ私たちは彼らを無視しますし、プロトコルを改善し続け、企業とも提携していきます。(企業もツイートなどに気を取られることはないでしょう。彼らは技術と私たちの人材を見ますので。)私たちは結果で物を言わせます。恣意的な市場介入に目を向けるのは私たちの仕事ではありません。IOTAが普及さえすれば自然と価格も上昇するはずです。これは長い戦いなのです。私は2013年夏頃に仮想通貨に参入しましたが、トレードに興じるのは狂気の沙汰だとすぐ気づき、Hodlerに転じました。何もしなくても二回の大波に乗りいい結果も得られ、一年後か数年後かは分かりませんが、今また次の波を待っている段階です。正直言ってそこは気にしません。なぜなら技術に楽しみを見出しているからです。お金は技術が実った時のご褒美のようなもので、負けるわけにいかないと言って奔走したりもしません。もし来月に全て溶かしたとしても、肩を竦めては、いつものビジネスを続けていくつもりです。幸せは選ぶものです。お金は私には選ばれなかったのです。今やっていることに対する熱情こそ重要なのです。

51%攻撃を考えると、コーディネーターのような仕事ができるノードは他の始まったばかりのプロジェクトに有効であるはずです。コーディネーターのロジックも分散化すればネットワークを安全に保てると思うのですが。

 経済的に合理性があるならクラスターの一部にコーディネーターのような役割が残るのも別に驚く話ではないでしょう。というのもクラスターは小さなTangleですので今日のメインのTangleに効く攻撃が通用してしまいます。コーディネーターの役割をノードに分散させるのも筋が通ります。ただ私はコーディネーター除去に関わっているわけではないのでそう言った質問を答えるにふさわしい別の人に尋ねてみてください。なぜか私の言葉を真に受ける人が多いのですが、もちろん不完全なデータからの推定も含んでいます。私が堂々と言ったことでも、後々そうならなかったなどもあり得ることを気に留めておいて下さい。

IoTデバイスの普及に関してこれからの5年で何が起こるでしょう?

 おそらく今日に予想できるものとは全く違うものになっていくでしょう。経済の法則の下で適したものが選ばれていくと思います。生物の成長のようですね。現行のプランも蓋を開ければ役立たずということもあるかもしれません。他のプランもまだ考えだされていません。何かキラーアプリが登場してペースを早めることもあれば、障害物にぶち当たって時間が予想以上にかかることもあるでしょう。未来の予測は非常に困難です。私たちができるのは、ヴィジョンに向かって働くことであると同時に、今そのソリューションが手元にあると短絡的に考えないことです。状況が芳しくないときにすぐに軌道修正できる柔軟さが必要です。これもですが私よりも未来を予想することに長けている人は他にいます。私は今ここを大事に、先のことは考えず、ただ素晴らしいプロダクトを作って、自分のやることを楽しむ以外に人生を費やしてはこなかったような人間です。そのような生き方に満足していますし、世界に良い結果ももたらせたとも考えています。もしさらに多くの人がこの世界をよりよくしようと努めてくれれば良いですね。そうすれば皆のためのパラダイスが現実のものになるのではないでしょうか。

IOTA財団に関わりたい人たちに何かメッセージはありますか?

 ぜひぜひ。今年中にも100人規模まで成長させることを想定しています。私たちの計画は野心的ですので、実現を可能にしてくれるような高スキルと高い志を持った人が必要です。Qubicもロードマップが明確化すれば、Qubicチームも何人か増やす予定です。IOTAのウェブサイトを見て、どんな職種が募集中かを確認してみて下さい。また、コミュニティにも携わることはできます。財団の人間でなくとも、IOTAを広めよう、コミュニティに良い影響を与えよう、と努めている人が多くいます。技術に疎くても大丈夫です。必要なのはより良い世界を作っていく気概です。

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