IOTA Evangelist Network、Kevin Chen氏とのインタビュー

補足説明
この記事はIOTA HISPANOさんによります原題『Interview with Kevin Chen, Founder and Head of IOTA Evangelist Network (IEN)』の日本語訳です。必要だと思われる部分には言葉や構成を補っています。
トップ画像は『Interview with Kevin Chen, Founder and Head of IOTA Evangelist Network (IEN)』より引用させて頂いています。

 2017年のいつだったか私たちはKevin Chen氏とSlack上で出会った。いつだったか本当に思い出せない。(そしてSlackの会話はほとんどが消去されたので今更知るすべもない。)確かではないがRajiv Shah氏がKevin氏を私に紹介してくれた。ただ、その時が初めて彼と話したことなのは確かで、その時にIEN(IOTA Evangelist Network)というものを教えてくれ、メンバー申請してみてはどうかと勧めてくれた。申請にはしばらくかかったが、つい数ヶ月前にIENメンバーとなることができた。それからというものの、IENのネットワークの中で、IOTAと素晴らしいことに取り組んでいる様々な分野の世界中の人たちと知り合うことができた。

 このインタビューは私を迎え入れてくれたKevin氏やネットワーク上の方々への感謝の意味も込めて行なった。もしIENが何なのか知らないとしたら本記事を読んでみるといいだろう。

Daniel De Michele (Carpincho Dem)
IOTA Hispano コンテンツ部長
IOTA エバンジェリスト・ネットワーク・メンバー & エコシステム開発者
(2018年5月30日に記事を発表)

あなたのバックグラウンドについて教えていただけますか?

 私がまだとても若かった頃、だいたい1990年代後半だったでしょうか、私の父が化学の道を諦めて、自主学習で会得したプログラミングの知識をもとにインターネットのスタートアップで働くようになったのを見てから、ずっとテクノロジーに魅了されてきました。父は彼の職場に私を連れてってくれ、eコマースの初期バージョンのデモを見せてくれました。私自身14歳でJavaを使った開発を始め、高校では高度なプログラミングクラスをとり、コンピュータサイエンスの学位を大学で取得しました。金融の方にも興味がありましたので、ベイエリアのテック系のスタートアップに参加するというよりかは、ウォール街でフィンテックの仕事に携わることに決めました。大手銀行では初めてのアプリケーション開発者として、また中堅の信用貸ヘッジファンドではデータ分析の仕事を受けました。

いつ頃分散型台帳の業界に携わり始めましたか?

 初めてビットコインについて知った2011、12年頃は、その技術に秘められた革新性についての知識が浅かったこともあり、正直言って、自由主義で無政府主義者のためだけに生まれた、トレーディングカードや薬物取引を媒介する貨幣のデジタル版程度にしか思っていませんでした。(私自身は適度に自由主義者ではありますが。)柴犬を使ったミームが好きだったことと健全なコミュニティに惹かれ、まずDogecoinに興味を持ちました。そのころのコミュニティの歓迎的な雰囲気は、当時陰気臭かったビットコインのものとは対照的でしたね。それからつい2年前まで仮想通貨について深入りはしませんでしたが、もっと早くしておけばよかったと今になって後悔しています。メディアでブロックチェーンなるものがバズり始めているのを耳にはしましたが、金融の職場で同僚が語っているのを見たことはありませんでした。そこで、まず私自身がこのブロックチェーンという技術について調べてみる事にしました。ブロックチェーンとビットコインや仮想通貨の関連性、ブロックチェーンやスマートコントラクトといった技術の破壊的潜在性が私の当時の職場であった金融業界にもたらす影響を理解したとき、もう後戻りはできないと悟りました。そしてブロックチェーンと分散型台帳の世界に私は飛び込んで行きました。まずは勤務時間外にその技術について自力で調査・学習を始めました。その後はニューヨークで開かれていた様々なブロックチェーン関連のミートアップに参加するようになり、仮想通貨にのめり込んだギークたちのグループへと溶け込んでいきました。そこで多くのアルトコインに出会い、自分の領域を広げる意味も込めて、ブロックチェーンの金融や株式市場以外への応用について考えるようになりました。

IOTAを初めて知ったのはいつ頃でしたか?またその時の印象はどのようなものだったでしょうか?

 IOTAを初めて知ったのは2016年の終わり頃で、ちょうどブロックチェーンがIoTなど次世代のテクノロジーとどう結びつくのかを調べていた時でした。ある日単純にGoogleで「Blockchain IoT」と調べるとIOTAがヒットしました。私の初めての印象は半信半疑な驚きでした。一つの時代で達成できるとは思えない無謀とも言えるIOTAの掲げる様々なビジョンを目にした時は驚きで困り果ててしまいましたね。IoTとM2Mのためのマイクロトランザクション?量子計算時代の暗号技術?三進数計算機?全てがまるで異世界のテクノロジーに聞こえましたし、流石に荒唐無稽ではないかと思いました。こんなアルトコインを見つけたことは今までなかったですし、これからもないでしょう。

 しかし、IOTAのホワイトペーパーやブログなどから資料を読み漁っていくうちに、IOTAの創始者とチームは想像がつかないほどの理論と思考実験を重ねて真面目にこのプロジェクトを立ち上げたことが見て取れました。彼らはIoTネットワーク上での安全な商取引(高額、少額関わらず)とM2Mのデータ通信の需要を満たすことで繋がっているスマートデバイスのユーザビリティをより良くしようとしているのです。このようなデバイス数は年々10億単位で増加していますので、モビリティ、サプライチェーン、エネルギーや製造業などに大きな影響を与えています。これらの文献を深く読めば読むほど、IOTAの挑戦は現実に即した具体性を持つものとして見ることができました。IOTAはいつかの未来に使われるテクノロジーではなく、むしろ急速に変化する世界のためのものであるのです。そのさなかに生まれはじめたチャンスの芽は、IOTAの成熟によってますます増えていくことでしょう。もはやテクノロジーの進化は線形に進むのではなく、まさに指数関数的に進歩していくものだとIOTAが教えてくれました。それを悟った時、IOTAとそのチーム、そしてこの瞬間に私の全てを賭けてもいいのではないか、この素晴らしい試みに参加してもいいのではないかと思い立ちました。これをうまく表現した私のお気に入りの名言があります。

2年後の変化は想像より大きく、10年後の変化は想像より小さいと我々はいつも考えている。現状に甘んじて立ち止まってはいけない。」 By Bill Gates

パックを追うのではなく、先読みしてそこへ滑るのだ。」 By Wayne Gretzky

IEN(IOTA Evangelist Network)のリーダーとして、IENについて教えていただけますか?

 IENはIOTAの貢献者やコミュニティのリーダー、世界中の様々な場所で活きるイノベーターたちの、幅広くしかしきめ細かいネットワークです。私たちのDNAは開発者、ハードウェアエンジニア、ソリューション設計者、起業家、データサイエンティスト、製造業者、銀行員、ビジネス・金融アナリスト、セールスマン、マーケッター、コンサルタント、映画製作者、DJ、レストラン経営者、薬剤師、教師、学生などで構成されています。私たちの活動の場は、スタートアップ、大企業、大学、政府、NPOのようなものまで多様な産業まで広がっています。IOTA財団の目標達成をサポートし、世界中にIOTAの教義を広げ宣伝活動をする中で、ありとあらゆる場面でIOTAが受け入れられていくようにいろんな人と参画していくために、個々が秘めるIOTAテクノロジーに対する情熱、時間とエネルギーを一つに集める場でもあります。特にミートアップ、イベント、ワークショップやPoCの実装などによってこれらを実践しています。

どうして”Evangelist”なのでしょうか?また、IENはどのように始まったのですか?

 ”Evangelist”というのはテック業界の専門用語で、あるテック系の商品、プラットフォームやスタンダードを大衆の中に確立させる役割を果たす専門家のことを指します。まさに今私たちがIOTAでやろうとしていることですね。しかし、残念なことに”Evangelist”という呼び方は特にテック業界の外からはネガティブな印象を受けやすく、時々私たちのことをカルトなのではないかと聞いてくる人もいます。私たちはそのようなものからは全くかけ離れています。でも、カルトのリーダーって呼ばれるのも悪くないかもですね(笑)

 IENは2017年8月にスタートしました。ちょうどIOTAのサブRedditをうろうろしていたとき、reddit仲間のなかで、モントリオールでIOTAを広めたいけど何から始めればいいか分からないと言う投稿を見つけました。私はニューヨークでIOTAのミートアップを取り付けたところでしたので、何かアシストできるかもと伝えました。そのやりとり以前から、IOTAの巨大なコミュニティ(一時Slackでは4万人を数えました。)の中には、IOTAにもっと貢献したいけどそのためにはガイダンスが必要だと感じている熱心な人が多くいるとは思っていました。このモントリオールの彼、Allenというのですが、と初めて電話した時に現在のような、皆で学んだり、知識や機会を共有したりして支え合っていけるような、近しいコミュニティとネットワークを作ってみてはどうかと提案しました。David氏、Dom氏とWill氏などの財団の人たちからの献身的なサポートのもと私たちの活動は始まり、それからどんどんメンバーの輪を広げて今の形になっています。

 

IENには何人くらいのメンバーがいるのですか?彼らはみんなテクノロジーを専門とする人たちですか?そうでない人にはどのような人がいるのでしょうか?

 IENには現在40か国以上から120人ほどが参加しており、毎週3、4人新たに加わっています。IENのほとんどの人はテクノロジーの専門家で、IOTAや分散型台帳の内外を最低でも概念的に、できればプログラマーの目線からも、理解している人たちです。IOTAの専門家でなくても、IOTAを広げていきたいと考えていれば、大企業やコンソーシアムに属する個人や他の産業や領域で専門を持つ人なども参加しています。

IENの人数の上限を考えたことはありますか?

 もちろん上限は必要でしょう。メンバー間の繋がりや信頼関係の強弱、リアルタイムに行動・調和していく能力次第でIENは生きも死にもします。コントロールを失うくらい急速に大きくし過ぎてしまうと、本質的な何かや精神を失う恐れもあります。具体的に数字でと言われるとまだ不確定ですが、そろそろ上限かなと感じたところでストップするつもりです。ちなみに今現在はまだ新しいメンバーを世界中から募集しているので、サイズはこれからも大きくなっていくでしょう。

IENへの申請方法、求める人物像について教えてください。

 私たちのサイトから応募できます。

 求める人物像ですが以下のうちいくつか当てはまっていることでしょう。

  1. IOTAに対して情熱を持っていて、その進展を追い続けている。

  2. ボランティアとして時間と労働を費やせる。

  3. 先のことを考えて、何かに関わって取り組める。

  4. イノベーティブな志を持っている。

  5. 私たちに足りない国や地域、業界で生きている。

  6. 私たちが必要なスキルを持っている。

 例えば、現在はアフリカでの存在感を高めたいと考えているので、アフリカ地域で活躍できる人を特に歓迎します。

IOTAのビジョンとIENの成長とこれからについて教えてください。

 長い目で考えると、来るべき機械経済と第四の産業革命の時代でIOTAは汎用性の効くテクノロジーとして主要な標準となっていくでしょう。非中央集権化(コーディネーターの排除によって)、手数料なし、スケーラブル、データと価値の取引などIOTAによって実現できることは多くあります。M2Mの新しいプロトコルを作ることで自動売買の仕組みが出来上がるようになるでしょう。

 プロトコルの流れを例として挙げてみます。買い手と売り手の機械が互いにチャンネルを開き接続します。彼らはそれぞれのIDを認証して互いの評価を確認します。その後売り手がサービスを買い手に提供し、買い手はそれが終了したことをインボイスメッセージとして伝えます。そして買い手が売り手に代金を支払い、領収書を発行してチャンネルを閉じて二者間の接続を切ります。このようなプロトコルはAIによって動く機械にとって特に有効で、AV機器からドローン、産業用ロボットからスワームボットまで、これまでないほど多彩なメッセージ構造や支払い方法(トークンやトークンの債権、IOU)を相互にやりとりできるようになるでしょう。機械間でデータやリソースを循環させることのできる新たな場が開かれることになります。このような経済と生活の枠組みが波紋のように広がっていくことが想像できるはずです。何より素晴らしいのは、こういったM2Mプロトコルは、データと価値の移転レイヤーとなるTangleと暗号化の仕組みであるMAM、スマートコントラクト機能となるQubicだけで実現できることです。

 IOTAはIoTとM2Mの分野で数え切れないほどの応用ができることがこの例を見てわかると思います。まっさらな草原や真っ青な空のように、何でも付け足せる潜在性があります。その潜在力を最大限に活かすためには、IOTAの大衆への認知とそれによるネットワーク効果、多くの場所で利用される実績を残す必要がありますが、それはIOTA財団単独でなし得るものではないでしょう。コミュニティによる息の合った努力が不可欠となります。そこにIENが率先して協力できる場所があると考えており、特に財団の目がまだ届いていない世界の隅々から技術回りの様々な標準をIOTAに持ち込むなどをしていきます。

IOTAに他の形で携わる人へのメッセージをいただけますか?

 もしあなたのプロジェクトがしっかり続いてかつ、インパクトを残したいと考えているのだとしたら、何をするにしてもそれをやり通し、楽しい時も辛い時も踏ん張っていくことです。長い目で見たときのプロジェクトの価値を信じているのならば、取り組むこと自体を楽しめるはずです。はじめの頃は結果がほぼないも等しいことがほとんどです。しかし、投資における利子と同じように、小さな結果も積み重なっていくものです。継続は力なりです。

 分散型台帳の世界にいる間、派手で壮大なICOとともに発表されていながら、何も見せてくれないまま消えてしまう多くのプロジェクトを何度も見てきました。IOTAは2017年中盤までに静かで厳かな始まり方をし、それ以降はロケットのように速度を増してきました。目標達成のためには、腕を磨くしかありません。腕を磨くには先ほど言ったことの繰り返しになってしまいますが、継続して一歩ずつ成長していくしかありません。楽器の演奏、スポーツ、芸術、ゲーム、ダンスなどのスキルを磨くのとそんな変わりがありません。

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