Serguei Popov教授(カンピーナス州立大学教授, IOTA創設者の一人)へのインタビュー

補足説明
この記事はカンピーナス州立大学によります原題『Professor da Unicamp é um dos criadores da Iota』の日本語訳です。必要だと思われる部分には言葉や構成を補っています。
トップ画像は『Professor da Unicamp é um dos criadores da Iota』より引用させて頂いています。

| 著者:Manuel Alves Filho | 写真:Antonio Scarpinetti | 画像編集:Paulo Cavalheri |
2018年5月22日原文発表

 ロシアの数学者 Serguey Popov は、ブラジルの名門カンピーナス州立大学の数学・統計学・科学技術計算研究所の教授であり、分散型台帳技術に革新をもたらす暗号通貨として2015年に創設されたIOTAの設立者の一人です。IOTAの特徴は、IoT向けに設計されていることの他に、IOTAを利用した少額取引が実現できるように手数料の徴収をしないことです。以下のインタビューで、Popov教授は、IOTAのシステム開発の経験ー本人曰く”魅力的な経験”ーや、IOTAプロジェクトに関するコンセプトや、暗号通貨を利用することに関連する人々の不信感などについて語ってます。本人談「不信感があるのは当然ですが、未来は必ず到来します。そして私たちにできることは、それに少し参加することです。すぐに不信感は克服されるでしょう。」

IOTAを作ろうというアイデアはどのように出てきたんですか?

 IOTAプロジェクトのアイデアは、私のものではありません。3年半前に David Sonstebo と Sergey Ivancheglo と Dominik Schieer から出てきたものです。彼らは、IoTに活用できて、極めて金額の小さい取引であるマイクロトランザクションに適した暗号通貨を作ろうと考えていたんです。そのためには、他の仮想通貨のように手数料を取ることはできません。現在は取引ごとに3〜4USドル徴収するものもありますが、2017年12月には、30USドルもかかりました。ヘリコプターを購入するんだったら、30USドルくらい支払っても全然大丈夫ですが、コーヒー1杯の支払い手数料だとしたら、ありえませんね。IoTの場合は、多数の少額取引が発生するだろうと想定していたので、取引手数料をなくす方法を探していたんです。

どのようにしてIOTAプロジェクトの設立に関わるようになったんですか?

 私は数学者です。暗号通貨に趣味として関心を持ち始めたのは2013年末で、何名かの暗号通貨関係者と話をするようになりました。その後、ブロックチェーンが生成されるプロセスや、ブロックチェーンに対する攻撃が成功する確率などの計算をして、いくつかの公式を使って文章にまとめて、ブロックチェーンのことを議論するネット上のフォーラムに掲載しました。するとそのフォーラムに参加していた人たちが非常に喜んで、もっと書き続けるように勧められました。そうして書き上げた私の著作を読んでいた David Sonstebo と Sergey Ivancheglo がIOTAを設立するときに、IOTAプロジェクトの数学者にならないかと私に呼びかけてきました。

IOTAプロジェクトにはどのような貢献をなさったんですか?

 私の仕事は、特にホワイトペーパー、つまり、IOTAの説明を概念的に記述する資料を書くことでした。だから私の仕事は非常に概念的で、プログラミングに関することには携わりませんでした。

IOTAの設立までには、どのくら時間がかかりましたか?

 約9ヶ月かかりました。IOTAが設立されたのは2015年10月です。

あなたにとって一番大変だったことはなんですか?

 一番大変だったことは、手数料とマイナーの存在をなくすモデルを考案することでした。従来の暗号通貨にはマイナーがいて、膨大なコンピューター計算能力を保有していて、取引を格納するブロックを生成しています。取引を発行することは誰にでもできますが、発行した取引が有効だと見なされるためには、マイナーによってその取引がブロックに格納されなくてはなりません。こうしたマイナーは非常にパワフルなハードウェアーを保有しています。当初は、家庭用コンピューターでビットコインをマイニングすることも可能でしたが、最近は、マイニング専用に作られたパワフルなハードウェアーを使う必要があります。具体的に言うと、ビットコインのマイニング会社は巨大な倉庫です。その中には、複数の棚があり、各棚には家庭用コンピューターの何万倍も計算速度の早いビットコインのマイニング用のハードウェアーがいくつも置いてあります。そういったマイナーの消費電力量は非常に多くて、現在(2018年5月)のビットコイン・ネットワークの電気消費量は、デンマークの消費量の二倍に相当すると試算されています。


その数学者によれば、IOTAはIoTに活用するために作られたそうです。
Professor da Unicamp é um dos criadores da Iota』より引用

IOTAの取引はどのように処理されるんでしょうか?

 IOTAでも取引の処理は必要ですが、普通のコンピューターでも数十秒間でその処理を終了できます。しかし、そこに至るまでに、経済的なインセンティブの問題を解決しなくてはなりませんでした。ビットコインのマイナーたちには、ブロックをマイニングするインセンティブがあります。今日、ビットコインのネットワークでは、10分ごとに100,000USドルがマイナーに支払われます。もしそのインセンティブがなくなったら、誰もマイニングをしたがらなくなるのは明白です。IOTAの場合のインセンティブは、「他者を助けることで、他者があなたを助ける」というものです。つまり、もし自分の取引を行うときに、他の人を助けるという良い行為をした場合は、システムに助けてもらえるけど、もしただ乗りして自分が有利になることだけを考えている場合は、システムの協力が得られません。このようなルールが上手く機能するようにしっかりと考える必要がありました。

IOTA財団の役割について教えてください。

 IOTA財団は、ドイツで登録されている非営利財団です。IOTA財団にある程度の資本金がありますが、運転資金として投資家から寄附されたものです。IOTA財団の任務は、IOTAネットワークの研究と開発を推進することです。

研究と開発と言えば、暗号システムは常に改善が必要なのではないでしょうか?

 すべての暗号システムが、常に改善を続けています。セキュリティーに関する問題もあれば、取引のスピードを迅速にする、いわゆるスケーラビリティーの問題もあります。IOTAのシステムは、何千という取引が同時に発生しても効率的な状態を保つ必要があります。いつも新しい課題が沸き起こってきます。それに、エラーのないソフトウェアはありません。IOTA財団の活動の一つは、システムを監視して潜在的なバグに対するソリューションを提案することです。これはIOTAに限らず、すべての暗号通貨も当てはまります。

IoTが進歩したら、冷蔵庫が足りない食品を見つけて、暗号通貨で購入と支払いをすることが可能になると言われていますが、実際にそのようなことができるようになるのはいつ頃でしょうか?

 それはもう目前ですよ。オランダですでに実施されているのですが、電気自動車の所有者が、車両ケーブルを充電用ステーションに差し込むと充電と同時に、IOTAでその支払いができます。IOTA財団はその種の実用化を拡大するために幾つもの大企業と協力して取り組んでいます。現在でも、IOTAの支払いを受け入れている喫茶店だったら、スマートフォンを使ってIOTAでコーヒー代を支払うことも可能です。まだ初期段階のテクノロジーなので、このような使い方をする事例は少ないですが、採用数は指数関数的に増えていくと思います。

問題があって以来、多くの人々が暗号通貨を信用していません…

 問題は、受け入れられらるかどうかです。多くの人たちが暗号通貨を信用していないですから。でも不信感があるのは当然です。私もそうですから。だって、冷蔵庫が自分の意見を持つなんて考えたくもないですからね(笑)。でも、私たちはよく考えるべきです。未来は必ず到来します。そして私たちにできることは、それに少し参加することです。すぐに不信感は克服されるでしょう。

暗号通貨をテーマにして授業をすることはありますか?

 学生が暗号通貨について知りたがっていたら、必ず話をします。現在、新人科学者一人と博士課程の学生が二人、暗号通貨をテーマにした応用研究に専門的に取り組んでいます。日々の講義の中で暗号通貨を紹介することはしませんが、学生たちに求められたら、その話題について論じることは拒否しません。

あなたはIOTAの設立に貢献されましたが、その経験について感想をお聞かせください?

 あのプロジェクトは、とても魅力的でした。素らしいことも沢山ありました。


ロシアの数学者Serguei Popov(カンピーナス州立大学の数学・統計学・科学技術計算研究所の教授)
Professor da Unicamp é um dos criadores da Iota』より引用

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