UNOPSとIOTA財団との共同に関する山本芳幸氏とのQ&A

UNOPSとIOTA財団との新しい提携の発表に続き、山本芳幸氏(UNOPSにおける国連特別関与・ブロックチェーン技術特別顧問)に今回のIOTA財団との共同と、分散型台帳技術によるUNPOSのオペレーション強化について話を聞きました。

現在、様々なブロックチェーンネットワークとプロジェクトがあります。そんな中でIOTAがUNOPSの将来的に可能性のあるパートナーとして際立っていた点は何でしょうか?

 現在UNOPSが関わっている機関の多くは、ビットコインやイーサリアムや他のブロックチェーン技術を使っています。私たちが活動を実施する場所は世界中に広がっていて、デジタルインフラはもちろんのこと、交通インフラさえほとんど整備されていない地域で活動することも頻繁にありますが、そうした地域では高速インターネット接続はおろか、電気でさえ利用できる場所も時間も限定されています。IOTAの分散型台帳は専らIoT装置向けに作られているので、電池での稼働やインターネット以外の方法で接続するネットワーク上でも稼働できます。今日の大多数のブロックチェーンでは、必要とされるコンピューター計算能力が高すぎるので、構築できないユースケースがあるのです。

では、IOTA財団との提携はどのように機能しますか? UNOPSは、技術に関するある特定の一つの試験や、一連の様々な試験をスタートするつもりですか?

 私たちはIOTA財団と一緒に最初のPoC(概念実証)に最適なユースケースを特定する作業を実施中です。UNが現場で活動しているときに、一つの組織全体として直面する諸々の課題の改善に役立てるためです。まさに共同作業です。私たちはIOTAのテクノロジーについて学びながら、IOTA財団もUN特有の課題やUNに必要な技術について学んでいます。イテレーション(短い間隔で反復しながら行われる開発サイクル)を回しながら、ユースケースをよく調べて絞り込み、UNというパズルに欠けているピースの中で、どのピースをIOTAのテクノロジーが提供してくれるのか見極めよう、という考えです。IOTAが提案する試験的なソリューションに穴が見つかったり、何か追加する必要のある要素が特定されたりしたら、IOTAと協力してそうした問題に適任のパートナーたちを見つけて、巻き込んでいくこともあるでしょう。

私たちはIOTAのテクノロジーについて学びながら、IOTA財団もUN特有の課題やUNに必要な技術について学んでいます。

UNOPSはどのような実装のタイムラインをお考えですか? IOTAがUNOPSの事業に組み込まれるのは何時頃になるでしょうか?

 ご存知の通り、イノベーションに対するタイムラインを予測することは難しいです。このスコーピング(検討範囲の絞込み)段階の間に、チーム内でブレインストーミングして出した諸々のアイデアをテストして、見込みがなさそうだったら捨て、上手くいく可能性があるものは進めていく、という仕事をできるだけ効率的に実行していくつもりです。アイデアを実装するための実際の設計作業の進行は速いかもしれないし、遅いかもしれません。それはすべて、取り組んでいる問題の複雑さや、問題解決のために、ハードウェア、ソフトウェア、ユーザ体験などからどれだけ多様な要素を取り込む必要があるか次第です。何が障害となるかを事前に知ることは容易ではありません。袖を捲り上げて飛び込んでいくUNOPS式の方法しかありません。要は、まずはやってみようぜ!ということなんです。イノベーションは、ただ単に入札すればいいようなものではありません。イノベーションは、その名の通り、私たちの常識を超えるものです。実践しながら何が革新的なソリューションとなるのか学んでいかなくてはなりません。現場の様々な環境に即したイノベーションは、トップダウン式ではなくボトムアップ式の作業なのです。

UNOPSはIOTAとの提携をどのように確立したのでしょうか? 決定要因はありましたか?

 UNOPSは常に協力者やパートナーたちを慎重に審査します。今回も例外ではありません。自分たちで詳細な調査や分析を実施した結果、IOTAのテクノロジーとチームは有望であるという結論に達しました。学術的な論争は大切ですし、それなりの役割もあります。IOTA財団自身も公式声明でそれを認めています。しかしUNOPSの優先事項は、現実の問題に対して現実のソリューションを見つけることなのです。そのための最善の方法は、広範囲に網を投げて、クリエイティブに考えることです。

UNOPSは、他のブロックチェーンが進めているユースケースも検討していますか?

 はい、もちろんです。私たちはすでに、DLT(分散型台帳技術)界の数多くのスタートアップやインキュベーターたちと一緒に仕事をしていますし、これからもより良いソリューションを探し続けていくつもりです。もし理に適ったユースケースがあるなら、検討します。でも、私たちはブロックチェーンのためにブロックチェーンを使うのではありません。私たちの資源と人材は限られているので、現実的な世界の課題の解決に専念しなくてはなりません。私たちが何を優先的にやるべきかは、UNの組織としての任務に基づいて決めるのであって、仮想通貨界隈が盛り上がっているからではありません。新しいテクノロジーを用いた実験を行うのは、UNの活動を改善するためです。結局のところ、より良いUNを、より良い世界を築くためなのです。そうであるからこそ私たちは毎朝ベッドから起き上がれるのです。

山本芳幸
山本芳幸
山本芳幸氏はUNOPSにおける国連特別関与・ブロックチェーン技術特別顧問であり、この分野で働いている最も経験豊富な国連職員です。山本氏は、国連と国際援助活動のためのブロックチェーン技術の適用可能性を探っています。山本氏は元UNOPS平和安全保障センター長です。山本氏は主に人道援助と平和維持活動の分野で20年以上の経験を有しており、パキスタン、アフガニスタン、ヨルダン、イラクの各地で15年間働いていました。
補足説明
この記事はUNOPSさんによります原題『A Q&A WITH YOSHIYUKI YAMAMOTO ON UNOPS COLLABORATION WITH IOTA』の日本語訳です。必要だと思われる部分には言葉や構成を補っています。
トップ画像は『A Q&A WITH YOSHIYUKI YAMAMOTO ON UNOPS COLLABORATION WITH IOTA』より引用させて頂いています。

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